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他人の自由を奪う性犯罪としては強姦が代表的なものである。また社会の風俗を乱す性犯罪として、公然わいせつ、わいせつ物陳列などがある。性犯罪の被害にあっても、世間体をはばかり恥と考えたり、報復をおそれたりして、訴え出ない場合が多いと言われる。 近年は宗教の教祖や司教などが、信者の信仰につけこんだ性的暴行事件がいくつか知られるようになったが、これに対しての対策も求められる。
参考として警察庁の資料をみると、下記のように暴力的性犯罪という分類がみられる[1](ただし、他の報告では強姦、強制わいせつを性犯罪と呼んでいる箇所もあり、統一した定義というより、統計上の便宜的な定義のようである)
分類
暴力的性犯罪
強姦、強制わいせつ、強盗強姦、わいせつ目的略取・誘拐
それ以外の性犯罪
色情狙いの窃盗 (下着泥棒など?) 、公然わいせつ、児童買春 (児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律) 、淫行 (青少年保護育成条例、いわゆる淫行条例) 、のぞき・つきまとい (軽犯罪法・ストーカー規制法) 、卑猥な行為 (迷惑防止条例)
痴漢は刑法の強制わいせつ、または迷惑防止条例などで摘発される。
性犯罪をめぐる現代的な問題点
被害者の合意をめぐる問題点
被疑者・被告人となった者が合意を主張する場合、被害者および検察側が強いられる立証の困難の問題がある。
性犯罪の多くは、知り合いの間で発生していることから、性行為に至る経緯を詳細に調査しないと、合意の有無を判断することは難しい。また、単純に、性行為が行われる状況では、通常、目撃者が少ないといった問題もある。
強姦被害者が法廷や取り調べの場で、加害者につけいる隙をつくったか否かを詮索されたり、被害者が異性との交友関係、性体験の有無について詮索されることがあるという指摘があり、実際、裁判実務上でも、このような例は後を絶たないと指摘される。
13歳未満の子供が被害者である場合は合意の有無に関係なく犯罪であるとされる。しかし被害児童の性に対する知識不足や証言の信憑性に対する疑いから、明確な物的証拠(例えば被疑者の体液が残留していたり犯罪行為をビデオなどに記録した物が押収されるなど)がないと、犯罪行為の有無自体の立証が難しいケースが多い。そもそも被害児童に自分が犯罪の被害者になったという認識自体が無い場合が多く、犯罪行為自体がなかなか発覚しにくいという問題がある。これについては早期の性教育を行う事で、子供に自身が性的搾取から保護されるべき権利主体である事を認識させようとする動きがある一方、子供が性知識を持つ事に難色を示す意見もある。
「第二の被害」
法廷や取り調べで被害者がフラッシュバックを起こしたり、証言・陳述の内容がレイプや性的被害の再現であったりする場合の被害者の精神的苦痛は、第二の性的被害(セカンドレイプ、セカンドハラスメント)と呼ばれて問題視されている。
法廷に於いて加害者側の弁護士が、あたかも「被害者側に原因があった(性的に挑発的な服装や行動をしていた)」かのように弁明したり、被害者側の性的交渉の履歴などを執拗に追求したりと、その法廷戦術が問題になることがしばしば見られる。
なお、被害者のこれらの苦痛に配慮して、平成12年の刑事訴訟法改正により、証言の際の証人への付添、被告人と証人の遮蔽、ビデオリンク方式による別室からの証言を可能にする規定が新設された(刑事訴訟法157条の2から157条の4)。従来、これらの措置は一部の裁判所で一般的訴訟指揮権に基づいて行われていた。しかし、訴訟指揮権の発動は各裁判長の裁量によるため必ずしもこれらの措置がとられるとは限られなかったのを、条文の新設により解消しようとしたものである。
また、警察の刑事政策においては、被害者への対応は女性警察官が行うよう配慮したり、取調べ科学警察研究所などが被害者から聞き取り調査を行なうなど、改善への兆しはみられるようになってきている。
セカンドレイプなどと批判される法廷での証言や取調べも、多くは正確な事実認定や反対尋問権の要請に基づくものである。カナダでは性犯罪の容疑で起訴された被告人の発言権を制限する法律が制定された結果、冤罪が増大した。
虚偽の告発(誣告)
被害者であることを偽る者による虚偽の告訴・告発(誣告|ぶこく)も存在し、その場合は無辜の人(大抵は、男性)に対して極めて強力な社会的ダメージが与えられる。近年の指摘される例は
自己の素行不良を隠す為の手段として虚偽の供述をしたと疑われるケース→御殿場事件
電車内で痴漢されたと偽り、同車していた会社員から金銭を巻き上げるケース。→痴漢冤罪
2007年には痴漢冤罪をテーマにした周防正行監督による映画「それでもボクはやってない」が公開された。こういった場合、加害者ではない者を加害者として告発した者(おおむね女性)が虚偽告訴罪で起訴されることは極めて稀である(女が自首したような場合に限られるのが現状)。それゆえ、警察を道具として利用した恐喝まがいの行為をリスクなく行えるという現状が生まれており、またこうした状況がオレオレ詐欺に利用されたりしている。また冤罪事件の無罪判決を経てもなお破壊されたままの社会的地位につき、誣告者に対する損害賠償請求民事訴訟を起こしても敗訴する場合も多い。
一方で、2007年には東京地検で検事が無理矢理書類を捏造し強制猥褻の刑事告訴を取り下げ容疑者を不起訴処分にした事件が起こり、問題になった。
ただし、日本では被疑者として警察に逮捕された時点でマスコミや社会などから犯人扱いされることが一般的である。さらに、逮捕された者が無実であっても、そのことを伝えるマスコミの扱いは小さく、また、人々の関心も低い。それゆえ、無罪判決が出ても、被疑者が性犯罪者であるとの記憶が近隣住民に残り続けることが多く、社会復帰が困難となっている。このような問題点は性犯罪だけにとどまらず、他の犯罪の場合にも当てはまるところが多いが、社会的なサンクションは性犯罪が格別に大きいため、特に性犯罪で問題視されている。
再犯について
性犯罪者の再犯率は一般刑法犯に比べ高いとの誤解があるが、性犯罪者が再び性犯罪を犯す確率は他の刑法犯と比べて低いとの調査結果が出始めている(情報ソース:Jurist No1361)。日本に限らず、欧米でも広く誤解されていたが、近年見直されつつある。このような一部グループによる誤解を招く情報を欧米の学者は「性犯罪者の悪魔化」と呼ぶ(Amand Matravers,Setting Some Bounaries:rethinking responses to sex offenders,A.matravers(ed.),Sex Offenders in the Community,2003)。一方、韓国では3人に1人が再犯することが報告されている[2]。
警察庁では (全一般刑法犯に対する、年次変化を含むような)「再犯率」のデータは公表していないが最近では、犯罪白書等に一部、再犯率の調査結果が公表され始めている。平成19年の犯罪白書によると、再犯率が高い犯罪の代表として、薬物犯罪、窃盗、暴行罪・傷害罪が挙げられており、性犯罪に関しては一部の人間を除いては再犯率が高いとはいえないとの見解を示している。この中でも、特に問題視されているのは、暴行罪・傷害罪である。性格的なものに起因するため、更正が困難であるにもかかわらず、何度繰り返しても罰金刑など軽い刑しか課さないため、根本的な解決が望まれるとの指摘がなされている。
平成11年から12年の出所者・保護観察者等等に対する平成15年までの追跡調査では、性犯罪者は「集団強姦」「単独強姦」「わいせつ」「小児強姦」「小児わいせつ」の5つの類型に分類され各々、同一罪状と他の罪状についての再犯率が調べられた。その結果、同一罪状の再犯では、強姦・わいせつ共に、成人対象の性犯罪より小児対象の性犯罪の再犯率が高く、「集団強姦」は再犯率が低かった。他の罪状の再犯率については、「わいせつ」の再犯率が高くその他類型の再犯率はほぼ同程度であった。ただ、前述したように、他の刑法と比べて、性犯罪者が性犯罪を再び犯す確率(全体の平均値)は低いものとなっている。性犯罪者の再犯率が高いというマスコミの情報が根拠に乏しいものであることが裏付けられた格好となる。
ただ、性犯罪者の再犯性についてまだまだ十分なデータの分析及び蓄積がなされているとは言えない状況であるので、今後のデータの蓄積が望まれる。
性犯罪の再犯への対策のため、法務省は性犯罪処遇プログラムを策定した。
再犯率と再犯者率は、統計上密接な関係にある。有歴者 (前歴N) が再犯 (前歴N+1) する率を再犯率とした場合 (時系列平均で) 再犯率と再犯者率は一致する。また、有歴者 (前歴1) の者が再犯者 (前歴2) になる率のみを再犯率をとした場合は、再々犯者等を除き”狭義の再犯者”(2回目) のみについて再犯者とすれば (時系列平均で) 再犯者率と再犯率は一致する。(狭義の再犯者/初犯者)
また、犯罪者のうち一部の者だけが犯罪を繰り返せば、再犯者率と (後者の) 再犯率が乖離するとの意見も一部のネット上にはある。事実、警察庁の統計値等を見ればどのような犯罪も前歴1より前歴2、前歴3の者の方が再犯 (者) 率は高い傾向がある。しかし、このような傾向が特に強いのは窃盗や詐欺であり、性犯罪は他の犯罪と比べ特にこのような傾向が見られるわけではない。